
IoTデータの通信量にお困りのみなさん、
こんにちは、ソリューションアーキテクトの伊勢です。
車両やロボットがデータ伝送するには無線通信が必要ですが、SIM 1枚では安定しないという課題があります。
- 山間部や遮蔽物が多いなど電波が弱いエリア
- 4K画質映像やLiDAR点群などの大容量データ
今回は、SIMやWifiなど複数の回線を束ねるボンディングという技術を実現するマルチ回線ルーターをご紹介します。
はじめに
ボンディングとは
複数の物理的な回線やインターフェースを束ね、仮想的に単一の高速・大容量・高信頼性の通信チャネルとして利用する技術です。
専用のルーターがパケットレベルでデータを複数の回線に分散して送信します。
これにより、1本の帯域を超える大容量データでもスムーズに伝送できます。

peplinkルーターとは
当社ではpeplink社のマルチ回線ルーターをご提供しています。1
サーバーに配置した仮想ルーター〜物理ルーター間にVPNを構成する仕組みです。
VPNで伝送したデータは終端ルーターで統合を行う仕組みのため、束ねた複数回線の帯域を単純に足し合わせたより少し低くなります。
ボンディングの効果
車載したエッジコンピューターからカメラ2台分の映像を送信・可視化しました。
SIM 1枚構成では伝送遅延によりブロックノイズが発生しますが、
SIM 2枚構成ではスムーズに表示できていることがわかります。2
当社でも、お客様への提案のほか、展示会デモで活用しています。
展示会で多くの方にご来場いただくとLTE回線が混雑する場合、複数SIMの利用でロボットのカメラ・LiDARデータ伝送や遠隔操縦の安定化を感じられます。
実測してみた
ボンディングで通信速度が数値的にどのぐらい上がるのか、色々と回線を組み合わせて検証してみました。

今回はモビリティではなく、オフィスの机上定点で測定しています。
2機種で帯域を計測しました。束ねられる回線数が異なります。
- 5G マルチ回線モバイルルーター:MAX BR2 Pro
| インタフェース | 回線数 |
|---|---|
| 5G/LTE SIM | 2 |
| USB | 1 |
| Wi-Fi | 2 |
| 有線WAN | 2 |
- マルチ回線モバイルルーター:MAX BR2 Micro
| インタフェース | 回線数 |
|---|---|
| LTE SIM | 2 |
| 有線WAN x1(LANと共用) | 1 |
計測にはGoogleスピードテストを使用しました。
数回実施してみていますが、エリア・時間帯で変動する要素が大きく、結果を保証するものではありません。
MAX BR2 Pro
計測タイミングでブレが大きいのですが、
SIM 1枚よりSIM 2枚の方が、
SIM 2枚よりSIM 2枚 + USB/Wifiの方が
概ね帯域が増加していることが確認できました。

ボンディングの分散具合をintdashへのデータ伝送で確認しました。
アップリンクを多く発生させるため、iPhoneアプリ Motion でMJPEGを送信します。
これで上り40Mbpsほどになります。
以下のパターンを確認しました。
- 有線WAN x1
- SIM x1 docomo
- SIM x2 docomo/Softbank
- SIM x2 docomo/Softbank + Wifi x1
Throughput Txが複数回線で分散されていることがわかります。
どのように分散されるかは回線品質の状態によります。
3本まとめたのにほとんど2本しか使われないパターンもありました。

MAX BR2 Micro
SIM 2枚では、ダウンリンク・アップリンクともに15Mbps出ています。3

おわりに
peplinkルーターで回線ボンディング後の帯域を確認しました。
DX化が進むと収集データは多様化・多数化・大容量化されていきます。
ネットワーク帯域の確保は、intdashの安定運用に必要不可欠になっていきます。
当社では、4機種のpeplinkルーターをご提供しています。
大容量データを扱うモビリティの通信安定性に課題を感じている方は、ぜひお問い合わせください。

