aptpod Tech Blog

株式会社アプトポッドのテクノロジーブログです

オフィス縮小に伴い、会社の蔵書を寄贈しました


こんにちは、アプトポッドVPoPの岩田です。

そろそろコロナ禍も収束に向かい、だんだんと原則出社に戻す会社も出始めている頃合いではありますが、当社はまだまだリモートワーク体制を継続していく予定です。

そんななか当社では、リモートワーク体制でオフィスの稼働率が低下していることをきっかけとして、オフィスの縮小 を行いました。その際の物品整理、特に蔵書の処分方法のひとつの選択肢として、当社では「公共図書館への寄贈」という選択肢を取りました ので、皆様にご紹介したいと思います。

これは私個人の個人的な思いではありますが、まだ読める、誰かの役に立てる書籍を「捨てる」という選択肢をとることにどうしても抵抗があり、どうにか救う方法はないかと考えた結果ふと思いついた方法が「寄贈」でした。

コロナ禍が続き、当社のようにオフィスを縮小したり撤廃したりする企業様も出てきていることと思います。そういった中でこの記事が担当者様の目に留まり、リユースされる書籍が少しでも増えることにつながれば幸いです。



事の発端 - オフィス縮小プロジェクト

当社では、2020年にコロナ禍が発生した直後にリモートワーク体制を導入 し、そこから現在に至るまで、基本的にリモートワークを継続しています。

当社には、ハードウェア/ソフトウェアエンジニアから営業・プリセールス、バックオフィスまで様々な職種のメンバーが在籍していますが、 特にソフトウェア系のエンジニアについては、ほぼ100%がリモートワークを行っている 状況です。

物理的なハードウェアを扱うハードウェアエンジニアや、お客様とお話する機会の多い営業・プリセールス、バックオフィス系のメンバーについては、必要に応じてオフィスへ出社して勤務することもありますが、それでも オフィスの座席稼働率は平均的に10~20%割程度しかない 状況が続いていました。

昨年の座席稼働率の推移

当社オフィスは四谷三丁目駅から徒歩数分の位置にあるオフィスビルの3階と5階を使用していますが、これは全社員が出社しても収容できるだけのスペースを確保した広さになっています。前述の通り、コロナ禍に伴い出社率が大幅に低下した結果、2階分あるうちの1階分にはほとんど人がいないような状況が継続的に発生するようになり、この度、オフィスの縮小に踏み切ることとなりました。

オフィス縮小では、5階を解約し3階に集約する計画となったのですが、ここで問題となったのが十数年の会社運営で溜まりに溜まった様々な物品の整理です。床面積が半分になるので、相当多くの什器や物品を整理(処分)しなければならず、これまで社員の希望で購入し会社に配置されていた蔵書もその整理対象となりました。


え、捨てるの?まだ読めるのに? - 廃棄の発覚

蔵書のほとんどが技術書だったので、オフィス縮小プロジェクトのメンバーからCTO梶田とVPoPである私の2名に「必要な書籍を選別せよ」との依頼が飛びました。今回のオフィス縮小では、床面積が大幅に縮小することもありスペース確保が最優先とのことでしたので、CTO梶田とも相談した結果、数冊を残してその他は処分するという結論としました。処分対象となった蔵書は、おおよそ100冊~300冊です。

このとき、個人的によく書籍の中古買取り店を利用していたこともあり、処分対象の書籍についてはてっきり「売却処分」となるものと思い込んでいた のですが、プロジェクトメンバーに改めて聞いてみたところ、どうやら 売却ではなく廃棄 になってしまうとのでした。

たしかによくよく考え直してみると、いち企業のオフィス解体と、個人の引越しや家財整理では勝手が異なることは理解できます。書籍の中古売却で得られる金額などその他費用と比べるとたかが知れており、全体から見ると書籍が「資産性のないもの」に分類されてしまうのは容易に想像がつきました。

プロジェクトメンバーからは、廃棄対象の書籍について、希望があれば社員に引き取ってもらっても構わない旨は指示がありましたが、それでも引き取り手が見つからなかった場合には、やはり廃棄となってしまうようでした。


なにか手はないものか - 寄贈という選択肢

冒頭にも記載したことですが、個人的には、まだ読める、誰かの役に立てる書籍を「捨てる」という選択肢にはどうしても抵抗がありました。今自分たちには必要がないとしても、それはその書籍に価値がないからではなく、我々が今それを必要としていないだけです。それを読んで役に立つと思う人も世の中にはいるはずで、その人たちとその書籍が出会えていないだけなのだという思いが頭の中を回っていました。

そうして考えを巡らせる中で、書籍と人との出会いの場として思い至ったのが「図書館」です。思いついたらすぐ行動、気がついたら Google Map でオフィス周辺の図書館を調べていました。

すると オフィスから歩いていける距離に新宿区立四谷図書館がある ではないですか。また、新宿区立図書館のWebを確認すると、利用案内に「資料の寄贈について」というページがありました。これぞまさに探していたものです。

www.library.shinjuku.tokyo.jp


すぐに「寄贈」というアイデアについてプロジェクトメンバーに確認して了承をとり、さらに四谷図書館に電話で問い合わせをしてみました。すると、いくつか注意点はあるものの、四谷図書館の担当者様にも快く了承をいただくことができました。


寄贈時の注意点

まず第一に、寄贈に関する注意点は、それぞれの図書館のWebに記載があることが予想されます。そもそも問い合わせ自体も図書館の通常業務に影響してしまうため、まず自分で集められる情報は極力自力で集めるようにするのが良い と思います。


例として、今回寄贈させていただいた四谷図書館を挙げると、Webにはこのように記載されています。

新宿区立図書館のWebサイト


ざっと内容を要約すると、以下の通りとなります。

  • 持ち込みは寄贈者自身で行う
  • 一般の書籍は、汚損破損、書込み等がなく、年数経過が少ないことが条件
  • 参考書、問題集、漫画、自伝等自費出版的資料 については対象外
  • 蔵書するかどうかは図書館の判断であり、希望は受け付けない
  • 蔵書対象外となりリサイクルコーナーで利用者へ提供する場合がある


なかでも重要なのは、「汚損破損がないこと」と「寄贈者自身で持ち込むこと」でしょうか。なんでも持っていけばOKというわけではなく、きちんと自社内で品質を確認してから、自分自身で持ち込まなければいけません。「ゴミを処分する代わりに持っていく」のではなく、「価値あるものを次の人に届けるお手伝いをしてもらう」のですから、事前の手間がかかるのは当然です。

また、今回は個人からの寄贈ではなく法人からの寄贈であり、分量が多くなったり、寄贈する書籍の種類にも偏りがある(技術書が多い)ため、念の為四谷図書館にも直接電話で問い合わせをし、寄贈に問題がないか(ご迷惑でないか)事前に確認することにしました。

ちなみに、ここ(問い合わせでの為念確認)はとても重要であると考えます。今回四谷図書館は快く引き受けてくださいましたが、寄贈を受け付けているかどうかや、寄贈に対する考え方は各館ごとに異なると思われます。多くの書籍が一度に寄贈されてしまうと当然通常業務の圧迫にもつながるため、法人からの寄贈は受け付けないという選択肢もあって当然のことと思います。皆様も、寄贈を検討する際には十分にご注意ください。

ちなみに、今回のケースでは、やはり蔵書にするかどうかの判断については図書館側で決める、自分で持ち込む、の2点についてこちらで問題なければ、技術書でも、分量があっても問題ないとのことでした。


寄贈までの社内の流れ

ご参考までに、寄贈に至るまでの社内の流れをご紹介します。

  • 2022/08 オフィス縮小プロジェクト発足
  • 2022/11 蔵書整理依頼が飛ぶ、大半の蔵書が残存不要という整理に
  • 2022/12 不要書籍が廃棄処分となることが分かる
  • 2023/01 図書館への寄贈案が浮上、図書館へ問い合わせ
  • 2023/02 社員より希望のあった書籍の引取りを実施
  • 2023/03 残った書籍の寄贈を実施

この間、蔵書として残す書籍の選別、廃棄対象の書籍の引き取り希望アンケート実施、オフィス中の本棚からの蔵書のかき集めなど、色々と面倒な作業がありましたが、なんとかオフィス縮小のタイミングに間に合わせることができました。


いざ、寄贈へ

最後に、寄贈当日の流れをご紹介します。

まずはオフィス中から蔵書をかき集めます。雑誌等も含め一旦すべて集めると、ダンボール6箱分にもなりました。

集められた書籍を入れたダンボール(6箱!)

次に、集めた書籍を一冊ずつ蔵書の管理リストと照らし合わせつつ、ついでに汚れ具合をチェックしていきます。(この過程で、集められた書籍のなかに個人所有のものもかなり混ざっていたことが発覚しました、危ない危ない)

リストチェックと仕分けの様子

選別の結果、最終的にはダンボール3箱分の書籍が品質チェックをクリアし、寄贈対象となりました。

品質チェックをクリアした書籍たち

運搬の様子。四谷図書館はきれいなビルの中に入っていて、さすが都会の図書館といった感じでした。

四谷図書館が入っている建物のロビー。きれいなビルでした


さいごに

個人的には、図書館への書籍の寄贈という体験自体が始めてだったこともあり、本当に受け取ってくれるのか、ご迷惑にならないのかなど、色々と気を揉んで進めたミッションでしたが、推進する側もよく分かっていない手探りでの進行のなか、こういった話題にも手を挙げて快く手伝いを引き受けてくれるメンバーがいるというのは幸せなことだなぁと改めて感じました。

今回のこの活動が、本当に世の中のためになったのか、ただ図書館の方々の業務を圧迫しただけの自己満足でしかないのか、実際のところは正直分かりません。ただ、何もしなければただ廃棄されるだけだった書籍に、少なくとも一度は新しい持ち主に出会うチャンスを与えられたのは確かです。寄贈した書籍が新しい持ち主に有効活用されることを願って、今回のミッションはコンプリートということにしたいと思います。

ちなみに、本業であるソフトウェア開発に精進していくのはもちろんですが、たまにはこういった、ちょっと一風変わった活動も、いろいろな人のいろいろな側面が垣間見られて面白いなと感じました。毎日のリモートワークで煮詰まってきたら、息抜きがてら社会貢献というのもアリかもしれません。


それでは今回はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございました。


ついでにお知らせ

アプトポッドでは産業用IoTプラットフォームミドルウェアintdashの開発・販売および、intdashを活用したシステム開発を行っております。弊社のプロダクトやビジネスにご興味をお持ちいただけましたら、弊社のコーポレートサイトをご覧ください。

「IoTシステムを構築したいがどんなアーキテクチャがよいのかわからない」「MQTTで構築した既存のIoTシステムがあるが限界を感じている」など、IoTシステム構築に関する一般的なご相談につきましても、お問い合わせいただければお力添えいたします。

www.aptpod.co.jp


また、本記事をお読みいただき、アプトポッドに興味を持ってくださったエンジニアの方々からの連絡もお待ちしております。 まずはカジュアルな情報交換からでも構いません。会話をさせていただくなかで、募集中の職種をご紹介させていただきます。(採用ページはこちら

www.wantedly.com