はじめに
はじめまして。VPoPの岩田です。
弊社は、昨年の8月より開発本部のマネジメント体制を強化し、CTO・VPoE・VPoP から構成される CTO 室体制を敷いております。 aptpod Advent Calendar 2019 では、VPoE 高橋より こんなエモくて素敵な記事 が投稿され、 CTO 梶田からは 1年を総括する記事 が投稿されており、 私も彼らの後に続くべく、遅ればせながら本記事を投稿することにいたしました。
今回の私の記事の題材はというと、ずばり 「アプトポッドってなにをしている会社なの?」 です。
私自身アプトポッドに転職をしてきてから はや3年が経ちますが、実を言うと、今だに身内や友人から「お前の会社はなにをしている会社なんだ?」と聞かれることがよくあります。 それもそのはず、アプトポッドの技術領域は、 ハードウェアの自社企画・開発 から、クラウド環境をフル活用したサーバーアプリ・Webアプリの開発 まで、多岐に渡ります。製品の形態としても、SaaSやPaaS、ミドルウェア製品までラインナップしていますので、一言で なにをしている会社か と説明することは容易なことではありません。
そこで本記事では、アプトポッドに少しでも興味を持ってくださった皆様に、「なるほどアプトポッドとはこんな会社なんだな」と納得していただけるよう、 アプトポッドのこれまで、現在、そしてこれからについて、解説をこころみたいと思います。 (あわよくば、私のように会社説明に難儀している自社社員に、説明の手助けになるような記事にできれば一石二鳥です)
少々長い記事になるかとは思いますが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
アプトポッドのこれまで
実は、創業から14年も経っています
アプトポッドの創業は今から14年前、 2006年 に遡ります。 (もちろん当時私はまだ在籍しておりませんので、このセクションのお話はすべてCTOにヒアリングした内容をもとに記載しております) 創業当時は、まだ現在のような自動車計測やIoTプラットフォームといった事業はなく、 プロジェクト支援やマーケティング支援を受注する小さな会社だったそうです。
最初の車両計測案件、そして受託開発へ
アプトポッドにとっての転機は、 2010年 に受注したとある案件です。 当時車体改造を手がける他社様と連携して受注した案件のなかで、試しに作製した遠隔モニタリングのデモアプリが全てのきっかけでした。 初めは弊社の技術力を知っていただくためのデモに過ぎませんでしたが、 お客様も弊社自身も、これをきっかけに「遠隔から車両状態が確認できること」の有用性に気づき、 遠隔モニタリング自体が次第に案件の重要な開発項目となってゆきました。 これが、アプトポッドにとっての初の車両計測案件です。 現在の CTO であり、弊社最初のエンジニア社員である梶田 の JOIN により受託開発を受注できるようになったこともあり、 ここから車両計測案件を中心とした受託開発へ事業領域を拡大していきます。
受託開発の積み重ねと、自社製品への布石
とはいえ、受託開発事業を開始してから現在まで、車両計測に関する案件ばかりをこなしてきたわけではありません。 弊社としても、はじめから車両計測が当たると確信して一極集中していたわけではなく、 車両とは全く関係のないUI開発を請け負ったり、メール配信システムの構築からアミューズメント系のアプリ開発までとにかくなんでも受注し、 お客様の要望に全力でお応えしながら、弊社としての生き残る道を模索しました。
幸い、こうした模索を続けるあいだにも、車両計測に関する案件に関しては、何度もご依頼いただくことができました。 受注した案件で、車両情報の遠隔監視やバスの車内サイネージなどをいくつも手がけていくなかで、 自動車関連データに関するノウハウや、データの可視化表現に関するノウハウを蓄積してゆきました。 こうして様々なお客様とともにいくつものサービスを作り上げ、ノウハウを蓄積していくうちに、 複数の案件において共通のワークフローや機能セットがあることに気づきます。 より早く、より高品質にお客様の要望を実現するためには、共通項をまとめたアプリケーションが必要との考えのもと、 現在の intdash (バックエンドシステム) や Visual M2M Data Visualizer (可視化ダッシュボード) の前身となる、 自社製品第一号の企画開発がスタートしました。
はじめての自社製品
それから少し経った 2015年 、当時まだ IoT (Internet of Things) という言葉もそこまでバズっておらず、 M2M (Machine to Machine) という言葉が多少優勢だった時代に、 「自動車を携帯通信網でインターネットに繋げて遠隔監視」 という、当時としてはそれなりに尖った機能性を持った自社製品第一号が正式リリースを迎えます。 (その当時の名称を受け継いで、現在も弊社では Visual "M2M" という名称をブランド名として使用しています)
主力製品の開発開始、そして現在へ
自社製品第一号をリリースしたことで、大手自動車メーカー様にもご採用いただくなど、自社製品を活用した車両計測案件の受注が本格化しました。 ツールとしてハードに使い倒されていくにつれ、性能や機能、セキュリティなど他方面において強化すべきポイントが見つかるようになります。 これらを改善すべく、 2017年 より企画開発がスタートしたのが intdash と Visual M2M Data Visualizer であり、現在も利用されている弊社の主力製品です。
Visual M2M Data Visualizer(旧名称 Visual M2M)PV映像
このように会社の成り立ちをいまいちど振り返ってみると、着実に現場で経験を重ね、その経験をもとに自社製品を育んできた歴史が見えてきます。(実際、新入社員の口から一番多く言われる言葉は、「ベンチャーなのに意外と堅実な会社なんですね」 というものだったりします)
また、とてもありがたいことに、弊社が現在お手伝いをさせていただいているプロジェクトにおいても、「開発して納品して終わり」、というだけではなく、 お客様と一体となって、継続開発をしながらサービスのあるべき姿を模索していくような関係性を構築させていただくことが多くあります。 お客様とのプロジェクトを進めていくなかで、弊社としても経験値やノウハウをためながら、お客様と二人三脚でサービスを進化させていく、というのは、 会社の創業当時から変わらずアプトポッドの根底に流れる、大切にしていきたい価値観のひとつです。
アプトポッドの現在
こうした経緯を経て、現在のアプトポッドの主な事業領域は、以下の2つから構成されています。
- ①車両計測、データ収集/可視化用パッケージの提供
- ②データ収集/伝送基盤としての IoT プラットフォームの提供(と、それを利用した受託開発)
それぞれの事業について、以下でもう少し詳しく説明をしていきます。
①車両計測、データ収集/可視化パッケージの提供
この領域では、自動車や重機、建機などの車両全般を対象とした、データ収集や遠隔監視のためのツール群を Automotive Pro パッケージ として提供しています。パッケージの中には、車両からデータを取得するための 車載アプライアンス (intdash Terminal System)、 クラウド上のデータ収集管理プラットフォーム (intdash REST API / Realtime API)、可視化用Webダッシュボード (Visual M2M Data Visualizer) などがセットになっており、車両計測で必要となるツール群をワンストップで揃えることができます。
アプトポッドのこれまで でも述べたように、 これまでお客様と積み重ねてきた車両計測案件で蓄積したノウハウを結集して企画開発しておりますので、 車両計測や遠隔監視で問題になりがちな以下のような困りごとを解決するソリューションとして、 大手自動車メーカー様を含め、自動車開発の現場などでご利用いただいております。
- データ量が多すぎて詰まってしまい、リアルタイムに可視化/監視できない
- 電波状況の悪いところで、データが伝送できずに欠損してしまう
- OSSのダッシュボードツールではリアルタイム性に満足がいかない
- データが多すぎてOSSのダッシュボードツールではうまく可視化できない
②データ収集/伝送基盤としての IoT プラットフォームの提供
こちらの領域では、もともと車両計測パッケージのバックエンドシステムであった intdash を、 車両計測以外のユースケースでもご活用いただけるよう、IoT プラットフォーム として提供しています。
例えば、AI 開発のデータ収集基盤として
最近の AI 開発 においては、まず AI モデルの作成のために学習用データの収集が必要となりますが、 データの収集に課題を抱えていらっしゃるお客様にお声がけいただくことが増えてきています。 intdash は、車両計測で培った高頻度データの伝送や蓄積、管理のノウハウ を生かし、 大量のデータをより早く、より確実に伝送、収集することに長けたプラットフォームとなっておりますので、 このようなユースケースを求められるお客様にも、データの収集基盤としてご好評いただいております。
例えば、遠隔モニタリングのバックエンドとして
また、もともと車両情報の遠隔監視から始まった事業でもありますので、 遠隔地に存在する自動車やロボットなどの移動体の リアルタイムモニタリングやフリート管理 のための バックエンドプラットフォームとしてもご活用いただいております。最近では、低遅延、大容量、双方向性などの機能性を評価いただき、移動体のみならず、工作機械のモニタリングなどのFA分野でも、だんだんとお声がけをいただく機会ができるようになりました。
ご参考 (最近の事例については掲載が追いついていないものも多く、ご不便をおかけいたしております)
その他、プラットフォームの導入コンサルティングも承ります
様々なお客様のバックエンドシステムとして intdash が活用され始めたとはいえ、 これまで自社製品のバックエンドシステムであったという製品の経緯や、(ベンチャー企業らしく) 常に機能が追加され、進化を続けているプラットフォームであるという性質上、 2020年現在でも、実はまだプラットフォームがもつ全てのAPIやSDKを開示できているわけではありません。 (みなさまにプラットフォームの全ての機能をご利用いただけるよう鋭意対応中です。本年中には正式にAPIとSDKの正式リリースを予定しておりますので、今しばらくお待ちください)
それでは、APIやSDKが揃っていない中で、お客様にどのようにソリューションをご提供しているかといえば、現在は、 製品を熟知した弊社のソリューションアーキテクトがそれぞれのお客様のご要望をお伺いし、最適なアーキテクチャをご提案させていただく、という形態で、お客様のプロジェクトをお手伝いさせていただいております。また、ご提案したアーキテクチャは自社で開発を請け負い、責任を持ってデプロイ、運用までお付き合いさせていただいております。
アプトポッドのこれから
最後のセクションでは、現在の事業領域を踏まえて、今後の展望を描きたいと思います。
車両計測パッケージのさらなる洗練
現在のアプトポッドでは、過去の経緯から車両計測や自動車関連のPoCプロジェクトが数多くあります。 すでに国内大手自動車メーカー様や建機メーカー様において導入実績を積んできており、 車両計測においてはある程度の認知度を獲得してきていると自負しております。 もちろんこの方向性は、導入していただいているお客様からの意見を伺いながら、より充実したものへと拡充させてゆきます。
最近では、車両情報と合わせて動画データを取得したいというご要望も多く、ハードウェア部門では自社企画のビデオエンコーダデバイスを鋭意開発中です。 こちらの詳細につきましては、ハードウェア部門より公開されている以下の詳細記事をご参照ください。
さらにこれからは、お客様のワークフローに合わせてより柔軟なシステム構成が取れるよう、 自社企画製品の開発だけでなく、サードパーティ製品との連携も強化していく方向性も模索していきたいと考えております。
API/SDK整備によるプラットフォームの独り立ち
アプトポッドの現在 でも述べましたが、 現在の intdash は、まだ弊社アーキテクトによる導入サポートが必要な段階にあります。
今後、より多くのお客様に弊社のプラットフォームをご利用いただくためには、 弊社からアーキテクチャをご提案させていただくだけでなく、お客様ご自身でアーキテクチャを考え構築できる必要があると考えております。 そのために、APIの開示やSDKの提供、サンプルソース、ドキュメントの拡充を推進していく予定です。 また、他社様とのパートナーシップやOEM展開も視野に入れ、より多くのお客様へソリューションを届けられる体制を確立してまいります。
ロボティクス分野への進出
弊社のお客様のうち、最近自動車開発の延長としてロボット開発に興味を持たれている方々が増えてきているようです。 弊社がお手伝いさせていただいている案件のなかにも、ロボット自体の開発や、自動車開発へロボティクスの知見を活用するPoCが、 見受けられるようになってきました。
自動車とロボットは、高頻度なデータを発するインテリジェントな移動体 という点において それほど遠くない領域、違いに知見を転用しあえる領域であると言えます。 実際、最近では ROS をベースとした Autoware が自動運転分野で活用されるなど、自動車とロボットの境界が曖昧になりつつあります。
弊社としては、 現在の主戦場である車両計測、自動車分野のみに留まることなく、車両計測で培った知見をロボティクス分野にも応用していきたい と考えており、 現在ロボティクス分野への進出準備を進めています。
最近の展示会において、だんだんとその取り組みは社外公開をし始めており、 今後は実際のお客様事例への適用を目指して、ますます対応を加速させていきます。
さいごに
駆け足にはなりましたが、アプトポッドという会社の成り立ちや、現在の事業領域、今後の展望までを解説してまいりました。 振り返りもかねて、ざっくりと内容を要約しておきます。
- 車両計測、データ収集用のパッケージ を提供している会社です
- 自動車やロボットのような 高頻度なデータの収集/伝送/可視化 に強みがあります
- データ伝送プラットフォームは、 車両計測以外のユースケースでもご利用いただけます
- 自社IoTプラットフォームをベースとした 受託開発 も承ります
- 今後は、API公開を推進し、 PaaSやミドルウェアとして、ご利用いただける形態を目指します
- 今後は、自動車分野にとどまらず、ロボティクス分野にも挑戦してまいります
最後の最後に少しエモいお話を少々させていただき、締めくくりといたします。
ここ数年で開発組織に関わるメンバーが一気に倍増し、マネジメント体制が組織拡大に追いつかなくなりつつあるなかで、 CTO室体制が出来上がりやっと半年がすぎた現在、だんだんと組織規模にマネジメントが追いついてきた感があります。
一方で、会社全体の規模をみるとそこそこの大きさに見えるかもしれませんが、冒頭でもお伝えした通り弊社は対象としているレイヤが異様に広く、 ハード、組み込み、サーバー、Web、iOS、インフラ、デザインなど、それぞれのチームに割り振ってしまえば、各チームはまだまだ小さなベンチャー時代とそう変わらない規模のままだったりもします。
何を言いたいのかといえば、これからさらに事業領域を拡大し、より多くのお客様とともに新しいサービスを作り上げていくには、現在の規模でもまだまだメンバーが足りていません。 もしこの記事をお読みになって、アプトポッドに興味を持ってくださった方がおられましたら、ぜひ弊社の人事までお声がけください!
もちろん、車両計測、データ収集やIoTプラットフォームの構築でお困りになられているお客様 も、是非弊社に一度ご相談ください。 弊社のソリューションアーキテクトが、最適なアーキテクチャをご提案させていただきます!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。本記事をお読みくださった皆様と、 お客様として、仕事仲間として、お会いできることを心よりお待ちしております!