aptpod Advent Calendar 2022 1日目の記事です。
みなさまお久しぶりです。アプトポッドで人事をしている神前(こうさき)と申します。
前回の登場が去年のAdvent Calendarなのでちょうど一年ぶりくらいでの登場となります。
今年もAdvent Calendarの一発目を飾ることになり戦慄してますが宜しくお願いいたします。
今年もあっという間に年末になり、詳細な振り返りはおそらくCTOの梶田が記事にすると思いますが、私は私で激動の1年でした。
簡単に自分の1年を振り返ると
- 昨年末:経営層から大量採用のオーダーがきて戦慄
- 12~1月:大量採用のための準備(RPOなんかも初めて使ってみた)
- 1~4月:ひたすら面談面接の日々(おかげで採用自体はかなりすすんだ)
- 5月:会社の方針転換に伴い採用活動を一旦停止
- 6~11月:ワークエンゲージメント活動のような内部施策を実施
- 12月:事業部に異動
うーん、こう書き出してみてもなかなかのものだなと改めて思います。
さて、今回のブログテーマなのですが、昨年と同じテーマでやっても芸がないので、今年の後半に取り組んでいたワークエンゲージメント活動について振り返りも兼ねて書いていこうと思います。
先に結論を書いておくと、半年間取り組んでみて、学びやよかったこともあるものの、反省する部分も多かったです。あんまりきれいなことを書くというよりかは、「内部施策についての素人が、ない知恵を絞りながら取り組んだ悪戦苦闘の記録」として書いていきたいと思います。これからワークエンゲージメントについて取り組むぞ、みたいな人事の方がもし読者の中にいたら参考になると幸いです。
- そもそもワークエンゲージメントとは
- 自分が担当をするようになった当時の状況
- 運用側のサイクル
- 実施実績
- 数値の変遷
- アンケートの変遷
- ワークエンゲージメントについて調査をしてわかったこと
- サーベイフィードバックミーティングについて
- よかったこと
- 反省点
- まとめ
- 参考文献
そもそもワークエンゲージメントとは
日本で「ワークエンゲージメント」についてにわかに注目が集まったのは2017年前後になります。きっかけはおそらくこちらの記事のような「熱意あふれる社員」の割合が日本では6%しかおらず、調査した139カ国中132位と最下位クラスだったというというギャラップ社の調査結果公表ではないかと思います。
グーグルトレンドでは2016年の年末ぐらいから検索が急上昇しているので上記の記事とは別の契機があるかもしれませんがいずれにせよこのタイミングからいままで右肩上がりですし、いまだにワークエンゲージメントといえばこの2017年の調査結果が引用されることも多いです。その後、2018年に厚生労働省がだした「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」第Ⅱ部 第3章 第1節内のコラムにて「ワーク・エンゲイジメント」が多様な人材活用と雇用管理の文脈でとりあげられ、翌2019年の「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」では第Ⅱ部 第3章をまるっと使って「ワーク・エンゲイジメント」についてとりあげられています。いわゆる働き方改革といった文脈のなかで、労働生産性をあげるにはどうしたらいいかという問いに対する解の一つとして語られることが多いようです。
さて、上記の図をみると、2017年前後からの注目とは別に2004年(グーグルトレンドでは2004年以前は調べられない)あたりでも検索をされていることがわかります。それもそのはずで、「ワーク・エンゲイジメント」は最近できた概念ではなく、1990年代ごろからビジネス領域(やコンサル領域)では徐々に使われ始めており、上記の厚労省で引用されているような「ワーク・エンゲイジメント」の概念は2002年にユトレヒト大学のシャウフェリ教授の論文によって提唱されているからです。近しい概念といってもよい「ワーク・モチベーション」などは1950年代にすでにでていたりもするので、概念の歴史自体は実はかなり長いのです。
では、「ワークエンゲージメント」とは一体何なのかというと、少し乱暴なまとめ方にはなりますが、「従業員が職場や仕事に対して熱意をもって取り組む状態」であり、ワークエンゲージメント施策とはつまり「そうした状態にするための環境作りや施策、取り組み」といえるかと思います。ワークエンゲージメントを計るための方法はいくつかありますが、代表的なのは日本でも注目されるきっかけとなったといえるギャラップ社が開発した「Q12」や、上述したシャウフェリ教授の「UWES(Utrecht Work Engagement Scale)」等があります。計測方法やその尺度に違いはありますが、いずれにしてもワークエンゲージメントが高ければその会社の業績に対してポジティブな影響があることが様々な調査によって分かっています。少子高齢化が進む中で、いかに一人ひとりの労働生産性を高めるか、という文脈の中でワークエンゲージメントは近年特に注目をされているものといえるでしょう。
自分が担当をするようになった当時の状況
さて、そんなワークエンゲージメントへの取り組みについてですが、自分が担当をした時(6月ぐらい)に0からまっさらのスタートというわけでは実はありませんでした。というのも、昨年の11月ごろにも一度エンゲージメントサーベイ(サーベイ=アンケート)を実施していたからです。当時はギャラップ社のQ12を利用してアンケートの実施、回答結果をまとめて1月からいくつかの施策につながっています。ですが、この時は自分は基本的にノータッチでした。そこから約半年を経て再開するにあたってまずはどういう風に進めていくかをマネージャーと簡単に話して以下のことを決めました。
- アンケートのフォーマットはQ12を引き続き利用する:前回と同じフォーマットを使うことで差分をだしたい
- アンケートの頻度は月1とする:いわゆるパルスサーベイ的に細かく数字の変化を追えるようにしたい
- アンケートの文言を調整する:Q12の設問は固いものも多いので回答しやすいものに調整をしたい(例:Q10の「職場に親友はいますか?」について「親友とは?」となったり)
- アンケートの後にはサーベイフィードバックミーティングを実施する:アンケートをとって終わりではなく、それをベースに議論をして改善点があればなにかしらのアクションにつなげたい
- サーベイフィードバックミーティングはQ毎に実施する:毎月やるとさすがに現場の負担を大きいので
後述しますが、実施の段階でもっとよく調査をしてからスタートすればよかった、となるのですが(少し詳しい方からみたらQ12はパルスサーベイ的に用いるものではないということはお分かりかと思います)、当時は社内にもこうした取り組みの経験があるメンバーがいなかったこともあり、まずはデータをとるところから進めていこうとなった次第です。
運用側のサイクル
弊社では隔週で「全体会議」と呼ばれる会議体がありまして、オンラインで全員が集まり、事業進捗の報告や入退職者の挨拶、プロダクトのリリース情報共有等がされています。ほぼフルリモートに近い働き方(オフィスへの出社率はだいたい10%前後)になっているため、全社員が集まるこの「全体会議」を軸にワークエンゲージメント活動はサイクルを回していました。具体的にいうと、だいたい月に2回ほど全体会議があるので、月の前半の全体会議にてワークエンゲージメントアンケート実施の告知、翌週を期限一杯としてアンケート回収、月の後半の全体会議にて結果を共有、その次の全体会議にむけてアンケートの準備、というサイクルです。ちなみに集計についてはスプレッドシートを利用し、集計された数字を関数でひっぱってきてそれぞれの部署やグループごとにまとまるようにしました。ある程度数字をひっぱって自動化はしていたのですが、とはいえ手作業になる部分も多く、毎度ここに時間を使う部分もありました。サーベイフィードバックミーティングを実施する場合はアンケート結果を共有したあとに同時並行で実施をしていく、という感じです。
実施実績
そんなこんなで活動実績としては以下のようになっています。
- 7月末:(再開して1回目の)アンケート実施
- 8月:サーベイフィードバックミーティング実施
- 9月:アンケート2回目実施
- 10月:アンケート3回目実施
- 11月:アンケート4回目実施
- 11~12月:サーベイフィードバックミーティング2回目実施(予定)
おおよそ当初の予定通りにサイクルとしては進みましたが、初回はアンケートの実施、まとめ、サーベイフィードバックミーティングの実施でまごついてしまい時間を使ってしまいました。それ以降は順調にサイクルとしては回せたかなというところです。
数値の変遷
弊社の組織構造としては部(もしくは室)の下にグループという構成になっています。アンケートでは匿名回答とし、グループを最小単位としてまとめてありますが、組織によってはグループがないところもあります。個々のグループの数値の変遷をだすことはさすがにできませんが、全社での数値の変遷としては下記のように推移しています。
昨年の11月時点から数値としては徐々にあがり、直近では少し下がっていることがわかります。これらはあくまで全体をならした数値なので、各部や各グループではもちろんばらつきがありますが、全体ではおおよそ4.0付近を推移しています。数値の上下についてはその時々の会社の状況の影響もあるので一概に言えない部分はありますが、いくつかの部分についてはアンケートそのものに手を入れた影響があると考えています。
アンケートの変遷
7月から再開するにあたってアンケートの文言調整をしました。なぜかというと、昨年に実施した段階での文言はほぼネットに転がっているような文言をそのままもってきていたため、どう回答をしていいかわからないという声があったからです。また、当時は各設問の背景や補足の文言もなかったため回答をする人の解釈にかなりの部分を委ねる形になっていたという部分もあります。
(2021/11実施時) 例:
- Q1 職場で⾃分が何を期待されているのかを知っている
- Q4 この1週間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
- Q8 会社の使命や⽬的が、⾃分の仕事は重要だと感じさせてくれる
- Q10 職場に親友がいる
とりわけ上記の図にもある通り、Q10の「親友」をどう受け取っていいのかはわりと困惑する部分であり、それが数値としても顕著にでています。
他にも「これどう解釈すればいいんだろう?」という部分があったため、まずは回答をしやすいように文言を調整しました。
(2022/7~10実施時) 例:
- Q1 職場で⾃分が何を期待されているのかを知っている(理解している)
- Q4 直近1週間で自身の担当をした業務に対してポジティブなフィードバックをもらいましたか?
- Q8 会社のやろうとしていること(=ミッションやビジョン)に自分も貢献をしたいと感じますか?あるいは会社のやろうとしていることに対して自身も共感しますか?
- Q10 会社に、仕事以外でも付き合える、あるいは付き合いたいと思える人はいますか?
いまから振り返れば汗顔の至りなのですが、当時は「もう少し自然な感じの質問にしよう。もう少し解釈の幅を狭めて回答しやすくしよう」と考え調整をしました。その結果といってもよいのか、7月実施の際は前回(2021年11月)実施時よりも全体的に数値が上昇をしました(Q10は特に顕著)。
こうした文言の調整の他にも、追加の質問をその時々で設定し、例えば10月実施時には「フィードバック」にフォーカスをしてより詳細な質問をしていたりもしています。
そんな折、10月実施時に弊社のVPoPである岩田から「Q12の原文はこうなので、いまの設問はちょっとそこからずれているように感じる。こんな感じにしてみてはどうでしょう?」と提案がありました。自身としてもQ12の各設問は具体的にどういうことを聞いていて、どういう背景でそもそもQ12があるのか、この数値をどう解釈していくといいのかという行き詰まりのようなものを感じていたところがあったため、一念発起して「そもそもワークエンゲージメントはどういうものか」の調査を開始しました。そこで新たにわかったものは後述するとして、調査の結果をまとめたものをアンケートとともに展開し、アンケートの文言を再調整して実施したのが11月の実施回となります。元々のQ12の原文に近い形に調整をしつつ、各設問で聞きたいことを補足として付け加えながら元来の設問意図にしっかりと沿うようにしました。
(2022/11実施時) 例:
- Q1 職場で自分が何を期待されているのかを知っている
- Q4 直近1週間で自身の担当をした業務に対して褒められたり、認められたりといったポジティブなフィードバックをもらいましたか?
- Q8 会社の使命や目的が、自身の仕事は重要だと感じさせてくれますか?
- Q10 職場には(それが友達か親友なのかはさておき)安心して背中を預けられる人はいますか?
それ以前の設問は「回答のしやすさ」を意図していたこともあり、無意識的にも「数値が高くなりやすい」ものになっていたと今では思うところです。それを元来の形に近いものに再度調整をし、さらにQ12についての調査結果をまとめたものを展開したことにより、それを読んだ人からは「これはこういうことを聞いていたのか。であればここは前なら(例えば)4だったけど、それなら3だな」というような感じになったのではないかと思います。その結果として11月のアンケートではそれまでとは数値が微減したのではないかと考えています。施策の実施者としては当然数値が高いほうが喜ばしいわけではありますが、その一方で数値がみせかけのものであっても意味がありません。数値としては下がったものの、より会社組織全体の実態に近い形に数値としてはなったのであればその方が良かったと思います。
ワークエンゲージメントについて調査をしてわかったこと
ワークエンゲージメントとはそもそも何ぞやというのを調べ、まとめをつくったわけですが(今調べたらだいたい10,000字ぐらいあった)、内容としては
- ワークエンゲージメントが注目された時期
- 厚労省での定義
- アカデミック文脈でのワークエンゲージメント
- ビジネス文脈でのワークエンゲージメント
- Q12とは
- 各設問の背景
という感じでまとめました。
本稿ではQ12の詳細に触れませんが(さすがに字数が膨大になる)、かなり学びがありました(詳細に知りたい方は文末の参考文献をどうぞ)。また、Q12を含む「ワークエンゲージメント」周辺の概要についても知ることができたことも学びになりました。広く言えば「組織開発」に該当する領域だとは思いますが、これまで採用業務を中心にしていた自分としては新鮮でした。
Q12に多少焦点を当てると、例えば「Q12の設問は4つの固まりに分けることができ、全体として連関している」ことも今回の学びの一つです。言われてみれば当たり前のことではあるのですが、実際にアンケートへの回答する時にしかQ12に触れない場合、それぞれの設問がどうつながっているかはやはり見えにくいものです。
あるいは歴史や成立背景を知ることも理解を深めるのにとても役立ちました。元々はアメリカの調査会社であるギャラップ社が膨大な調査結果から導き出したものがQ12であるのに対し、例えば厚労省がとりあげているワークエンゲージメントはJD-R理論を背景としていますし、もっと広く言えばポジティブ心理学という「心理学」をベースにしています。ネット上にある「エンゲージメント」についての記事の中にはこのあたりがごっちゃになっているものもあり、それぞれの背景を知らないと、活動として実施するにしても見るべきものを誤ってしまう可能性があります。
細かいところで言えば、例えばQ2では「仕事をうまく⾏うために必要な材料や道具を与えられている」が聞かれるわけですが、ここでいう「材料や道具」はPCやデスクといった物理的なものに限らず、「業務を進めるにあたって必要な情報」や「必要な情報にアクセスできるかどうか」といった非物理的なことまでが含まれます。設問の「文言だけ」をみて「材料や道具」を物理的なものだと認識した場合、「PCは最新のものだし性能もいい、デスクやディスプレイもいいものを使える。でも情報についてはあんまり上から降りてこなかったり、どこにあるかよくわからないことがあるなぁ」という人は「5」や「4」と回答する一方で、「材料や道具」を非物理的なものまで含むと正しく認識をしている場合であれば「3」やそれ以下で回答する可能性はあるでしょう。こういった感じで、細かいといえば細かいのですが、設問が聞いているものを正しく伝えて、それを理解してもらった上で回答をしてもらうことでより実態に近い数値に全体として推移するものと思います。
サーベイフィードバックミーティングについて
話はガラッと変わり。8月にはその前月にとったアンケートをもとにサーベイフィードバックミーティングを実施しました。実施に際して、実施を前提とした上でまずは各部や室の部門長に実施方法の打ち合わせをしました。打ち合わせ内容としてはざっくりと下記になります。
- 結果の共有:各部門/室単位での数値結果の共有
- 実施の有無:アンケート結果をもとに実施の有無の判断
- 実施単位:グループによっては人数が少ないこともあるので他のグループと合同で実施するかどうか、等
上記をすり合わせたあとに、それぞれのグループマネージャーとより詳細に下記を詰めていきます。
- 実施タイミング:各グループでの定例があればそこで時間をもらう。難しければ別途時間を設ける。
- 実施時間:他の業務都合も鑑みながら30分~60分の間で調整
実施の際は以下のように進めました。
- 冒頭挨拶(3分):サーベイフィードバックミーティングの目的とおおまかなルール説明
- 結果の共有(3分):そのグループの数値結果を画面共有
- 議論の時間(残り時間):自身がファシリテーターとして話をふっていく
議論といっても侃々諤々でやるというよりかは、まずは数値結果をみながら率直にどう思ったかを聞いていくような感じで進めます。何かしらのアクションにつながるようなところまでいけるのがベストではありますが、無理にそこまでを目指さずに、また、話題としてもポジティブなことからネガティブなものまで含めて広くヒアリングをしていくように意識しています。
議論を進めながら議事録をつくり、終わった後にメンバーに共有をして終了となります。
よかったこと
まだまだ道半ばではありますが、振り返ってみての(会社視点というよりも個人視点ですが)よかったことを書いていきたいと思います。
組織に対するもやもやが可視化された:月一でアンケートを実施したことにより、数値の変化を追えるようになったのはやはりよかったことだと思います。これが年一や半年に一回だと数値の変化を追いにくく、また、その変化の原因を絞るのが難しかったと思います。「なんとなく空気がよくない気がする/よくなった気がする」というのが、主観による思い込みではなく客観的なデータとして数値で表れるので、それをベースに議論を始めるのはとてもしやすかったように思います。また、アンケートではフリーコメントの欄も設けているので、そこでの回答内容も踏まえて、例えば「この施策があったことでこの数値はこう変化したと思います。実際にこういうコメントもありました」という会話がしやすくなったと思います。ただし、可視化はあくまでスタートで、そこからどうアクションにつなげていくか、というのがより大事な部分ではあると思います。
より現場を知るきっかけになった:アンケートのあとにサーベイフィードバックミーティングを実施することで、いろいろな会話をするのですが、そのなかでの気付きというのは多かったと感じています。自分は元々採用をしていたので、現場のみなさんと会話をする機会自体は多い方でしたが、「採用」とは違う軸での会話、さらにいえば「組織課題」であるとか、もっと現実的に「実はこういうところに困っている」といったような話も聞けたのはよかったと思います。特に弊社はフルリモートに近いため、オフィスにいればなんとなく感じれるかもしれないものが見えづらく、どういう風に業務を回しているのか、どういうことを実際にやっているのか、その中で何に困っているのか、というのはどうしても察知しにくい面があります。さらに、「組織をどうよくしていこう」みたいな会話を正面切ってする機会もそもそも多くはないなかで、普通に接しているだけではなかなか聞けないことを聞けるとても貴重な機会だったと感じています。
反省点
よかったこともありましたが、当然反省点もあります。手探りだったところもあるので色々反省点はあるのですが、以下に大きく2つほど反省点を書いてみようと思います。
課題意識を明確にする:今回自分は半ば引き継ぎのような形で担当になったわけですが、「どういう目的で」、「何が課題で」、「そのためには何をすべきか」という点を事前にしっかりと詰めれていたわけではありませんでした。今回調べてわかったように、一口にワークエンゲージメントといっても、計測方法も、その背景にある理論も様々です。今ある組織の課題が何かというのをしっかりと議論をし、明確にすることで、それにあった運用方法、計測方法を選択すべきだったと今では感じています。もちろん、だからといってこれまでの活動が無駄ということはなく、例えばパルスサーベイ的な運用をしたことにより細かい数値の変化を追えたので、「この変化はこういうことがあったからかな」といった推測も立てやすく、組織全体としての変化の影響もポジネガ両面で見ることができたりもしました。また、課題ありきで進めるのではなく、「課題があるかを探るためにまずはアンケートをとって現状把握をしてみよう」というのも考え方の一つだと思います。ただし、その場合は「データをいつまで取るのか」といった期限を設けるとよいと思います。
頭でっかちになりすぎない/アクションまでつなげる:ワークエンゲージメントに限らずですが、いわゆる管理部門がなにかしらのアンケートを取る時に、その結果がどこにどう反映されてるのかがよくわからない、ということは往々にして発生しがちだと思います。今回でいえば、アンケートとサーベイフィードバックミーティングをセットで運用をし、アンケート結果を振り返りながら現場の皆さんと一緒に議論をするところまでは一応実行できたかとは思います。ですが、もっと踏み込んで、例えば数値の変化をもとに各マネージャー陣と会話をし、一人ひとりのメンバーのケアに活用をするといったようなところ、より具体的にアンケートをどう活用していくのかというところまでできればよかったと今では思うところです。
まとめ
いかがだったでしょうか。読み返してみてもなかなかの手探り感だったと思います。冒頭でも書いた通り、私自身は今月から部署が異動になるため、ワークエンゲージメント活動に直接的にかかわることは今後ないとは思います。ですが、取り組み自体は引き続き管理部として継続していきますので、今後も間接的に関われればと思います。
こうした人事施策はすぐに結果が出るものではなく、また、目に見えてわかりやすい結果が出るようなものでもないため、粘り強く取り組んでいくしかありません。私自身、アンケートのフリーコメントにあった励ましのコメントで喜びつつ、一方で「これって何のためにやってるんですか?」といったコメントで凹みつつを繰り返しながらやってきました。積極的にこうした取り組みに協力してくれる社内のメンバーはもちろんのこと、「面倒だなぁ」と思いつつも協力してくれるメンバーの皆さんの協力にも感謝です(ネガティブなコメントもとても大事)。みなさんの協力がなければそもそも何もできませんでした(毎回アンケートの回答率は90%以上なのはすごいこと!)。ありがとうございます。
そして、もし今後「うちでもワークエンゲージメント活動やってくぞ!」みたいな方がこれを読んでいる方の中にいて、その方にとって少しでも参考になれば幸いです。
それではまた1年後にお会いしましょう。
参考文献
Q12関連: 『これが答えだ!: 部下の潜在力を引き出す12の質問』:Q12を作成したギャラップ社の社員が書いた書籍。Q12それぞれについて詳細な説明があるので把握をするのにはこれがよい。
『まず、ルールを破れ: すぐれたマネジャーはここが違う』:同じくギャラップ社の人が書いた本。Q12作成の歴史みたいな側面があるので、Q12の成り立ちから知りたいならこちらもおすすめ。
『ストレングス・リーダーシップ<新装版> さあ、リーダーの才能に目覚めよう』:Q12をマネージャーや経営層にフォーカスして書かれたもの。Q12をどうマネジメント視点で活かすかについて知りたい方はこちら。
サーベイフィードバック: 『サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】』:サーベイフィードバックに関してはこの本をだいぶ参考にしました。著者の方は組織開発系の書籍も書かれているのでそちらも興味ある方は探してみてください。